兼務の課題と解決策

サービス提供責任者が兼務することの課題について語ります

兼務する際に気をつけたいこと

サービス提供責任者が兼務をすることでメリットが生まれる一方、デメリットも伴います。そのため兼務で得られる恩恵を最大限生かすためには、デメリットをうまく解消することが重要です。

サービス提供者が兼務をすることで生じるデメリットとして大きいのが、業務負担が増加し、仕事が回らなくなる恐れがあることが挙げられます。
サービス提供責任者の仕事は、訪問介護計画書の作成やホームヘルパーの業務管理、利用者との契約・連絡、ケアマネジャーとの連携など多岐にわたります。これらの仕事をこなしつつ、兼務する仕事もこなさなければならないため、一方の仕事に手が回らないという事態も起こりえます。
サービス提供者が兼務をする必要が出てくる場面というのは、多くの場合で人手不足が原因によるものです。なかなか業務を分担する人員を確保できない状況の方が多いはずです。
このような事態を避けるためにも、業務自体の効率化を推進していくことが大切になります。とりわけ昨今は介護DXの取り組みが注目を集めています。これは介護業界にもデジタルトランスフォーメーションを導入して業務の効率化を図ろうといった取り組みです。
介護ソフトを導入することで計画書や報告書作成の業務負担を減らしたり、介護補助ロボットを導入して介護にかかる身体的負担を軽減したりといったことが期待できます。ICTをうまく活用することで、介護現場での兼務をこなしつつ、サービス提供責任者としての業務も無理なくこなすことが可能となります。

サービス提供責任者が直面する課題

サービス提供責任者は訪問介護事業所にとって、なくてはならない重要な存在であり、やりがいを感じられる仕事です。しかしながらその一方で、サービス提供責任者としての業務を遂行する上で、さまざまな問題も発生しています。
その中でも代表的な課題として指摘されているのが、ホームヘルパーとの兼務により、身体的・精神的負担が非常に大きいことです。

サービス提供責任者はホームヘルパーとの兼務が認められています。このため多くの職場において、サービス提供責任者がホームヘルパーとしての業務も行っているのです。
2つの業務を兼務するため、本業であるサービス提供責任者の業務に支障を来すことが多いのです。日中にホームヘルパーとして訪問介護の業務を行った後、サービス提供責任者としての書類作成などの仕事を行うことになるので、残業が増えます。全国介護事業者協議会がサービス提供責任者を対象に実施したアンケート調査においても、62.3%が「業務負担が大きい」と回答しています。激務に耐えられず、辞めてしまう人も多いのです。
このような構造的な問題は、行政や法人経営者などによる職場改善がなければ解決は難しく、サービス提供責任者の努力ではどうにもならない課題といえます。転職する際は、ホームヘルパーとの兼務がない職場や、兼務であってもホームヘルパーの業務が少ない職場を探すことが大切です。
ただし、兼務にはデメリットしかないというわけでもありません。兼務することでスキルアップやキャリアアップにつなげることができます。周りからの評価が高まり、待遇や給与などに反映されることもあるでしょう。他業務との兼務について書かれたこちらのサイト(http://saseki-kenmu.com)も参考にしながら、自分はどうしたいか判断することが重要です。